飛び出し注意

雑多なオタクの備忘録

ムッシュ・モウソワール。

チケット管理用のファイルを買うと共に、まえまからやってみたいなと思っていたはてなブログに手を出してみました。観劇の備忘録とか、妄想とか、そんなことをつらつら好き勝手置いておく場所として。

 

2016年5月15日、赤坂草月ホールにて『ムッシュ・モウソワール第二回日本来日公演「レッド・ジャケット」』を見てまいりました。

monsieur-mausoir.com

第一回の際あいにく都合で見れなかったムッシュ・モウソワール。再来日が決定したときに何があっても行くぞ!という強い気持ちがあって、その気持ちに従うがまま千秋楽のチケットをご用意してもらいました。(なんで一公演かってお金が無かった)

 

簡潔に言います。

めちゃくちゃ面白い。

前作についてもざっくりとした評判しかきいておらず、HP以上の情報を入れずに行ったわけですが、それがよかったとおもいます。

見ていただいたらわかるんですけど公式HPをみても何もわからない。

分かるのは最低限の情報と「なんかスゴイ」ということだけ。それが楽しみのひとつでもありました。

いやもうほんとに、何が起きていたのかわからなかったくらい圧巻の100分。DVD買います。

公演プログラム(正直な話A3はでかい)に戯曲がまるっと掲載されているという余りにお買い得な状態でいくらでも内容に触れられるのですが、それでは面白くない。

そんなわけで、内容をかすめつつ雑感を述べていきます。

 

まずはあらすじ。

どことも知れぬ街の片隅の、壊れかけた建物の、ちいさな部屋の中で5人の男たちがここから脱出する方法を話している。 瀕死の男。外へ出たがる男。中に居たがる男。軍人。そして化け物。ちなみにこの街は化け物の軍隊に襲われて全滅したのだが、 1人だけ、化け物の若者が回心して彼らの味方になって行動を共にしているのである。
「たとえば、奴らが立ち去るまで、ここに息をひそめ続けるのはどうだろう?」
「たとえば、思いきって外へでて、奴らと戦うのはどうだろう?」
「たとえば、地面に穴を掘って…」
「たとえば…たとえば…」
彼らは生き延びる方法についていつまでもたとえ話を続けるがなかなか実行する勇気がない。 たとえ話ばかりを頼りに、果てしなく意見を戦わせ続ける彼らは、次第に現実と妄想の世界があいまいとなってゆく。 いつしか、彼ら自身全員が「たとえ話」でしかないのか?という恐ろしい想像の中、それでも生き延びる方法を探り続けることになってゆく。 はたして彼らに明日はあるのか…? これは5人の男たちが語る「たとえ話」にまつわる冒険譚である。

……?? うんこれだけでは何もわかりませんね!

でも見てみるとわかるんだな……。地面に穴を掘ってって話してなかったけど。

「たとえば」と「たとえるなら」が多用され、だんだん何が現実で何が妄想かわからなくなってくる。これがモウソワール。

前説で「我々の舞台はふわっとはじまります」と告げられますが、まさにその通り。たわいもない話を前説から続けてしているのかと思っていたら、すでに物語は始まっていたのです。「たとえば、こんな男がいて」そう言った瞬間、そこにいたはずの平野良伯は、赤いジャケットを着て、密室に閉じこもった男にかわりました。そうして、一人ひとりが物語の一員に変化していきます。

 

「今の状況をたとえるなら」という大喜利が始まったり、コントを見ているのかと錯覚してしまうような前半部分。強いギャグ要素に笑いが止まらないと思えば、外へ出たがる男と中に居たがる男が取っ組みあってもめたり、軍人に悲しい過去があったりと、シリアスなシーンを見せつけられます。どこまでがアドリブなのかわからないくらい勢いのあるギャグと演技。戯曲を読んでいてわかりましたが、ほとんどがシナリオ通り。ギャグとシリアスのバランスのよさは、さすが西田シャトナー伯といったところでしょう。全力のギャグに笑わされたのに、次の瞬間の真剣な台詞がすっとあたまに入ってくる。脚本はもちろん、演者の熱量も強く感じられました。

とくに宮下雄也伯の危機迫った大音量の「たとえば!」、佐藤永典伯の息つく暇もない早台詞は圧巻です。これを生で見聞きできる快感は、他と比べものになりませんでした。

4人の役者に負けないオラキオ伯の迫真さにも驚かされました。やはり何らかのジャンルで表現者だった人は、別のジャンルでもうまいものです。立派な一人の役者でした。

妄想は次第に黒い影を帯び始め、笑いの要素は控えめになっていきます。

そしてクライマックスは、誰もが予想し得なかった展開を遂げ、5人の男はまたもとの姿に戻りました。なんて鮮やか! 役者のすごさを見せつけられ、まるで嘲笑われているかのようでした。

 

つらつらと綴ってみたはいいものの、正直な話たくさんの人にこの舞台を見て欲しい!!という気持ちばかりが先走ってうまくいきません。こんな雑感では1/1000も表現できないくらい熱く、騒々しく、美しく、儚く、麗しい妄想でした。

前回の公演を見れなかったことを本当に悔しく思います。

今回はDVDが出る!なんて幸せなことでしょう。

さらに今一度の来日を願って、ムッシュ・モウソワール。